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1.2.2 気象庁の気象情報に関する問題点

船舶気象通報が現況の通報であるのに対し、気象庁で必要とされるものは予報が大半と考えられる。また、気象庁では陸上への配慮が主であり、海上についての予報は船舶の要求する局所的な海域に比べて広域な海域の平均的情報であり気象の大要を把握するのに役立っていると考えられる。

沿岸波浪に関しては風向・風速等、波高線、波向、周期等が実況図で示されている。(1日1回、JMHの気象FAX)また、予想図は1日後のものとして、同じ項目のものを放送している。その他気圧、天気、霧等に関してはラジオ、テレビ等マスメディアで提供されていることは周知の通りである。

気象庁発表の情報は、「今日の気象業務、気象庁編、平成8年版」にみられるように、国民のための「生活情報」「防災情報」「産業情報」「地球環境情報」を「より早く」「より正確に」「より詳しく」「より分かり易く」提供するよう努力が払われているが、対象となる主体は陸上と考えざるを得ない。船舶のための気象と海の情報として現在入手できる沿岸波浪図を例にとっても、このFAX放送が1日1回であること、情報表示の地域的範囲の広さを見るとき到底1.1.5項で述べたアンケートの要求に応じられるものではないことは明らかである。気象庁の情報はラジオ、TV等で容易に得られるもので情報の地域的細かさに欠ける点は、特に浅海効果、浅水変形等の影響を受ける沿岸波浪を問題とする船舶に対しては、情報提供の時間間隔の長さと共にいささか不十分であると考えられる。このような状況からアンケートの内容をみるとき、灯台等沿岸での波浪実況についての一時間毎の船舶気象通報が如何に期待されているものかが推察され、期待が大きい故の苦情であると解釈されるのである。

 

 

 

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